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January 14, 2005

自転車迷宮~長谷川自転車商会

よい子の皆様、お年玉はまだ残ってるかな?

名店です。
日本を代表する、いえ、アジアを代表する自転車ショップかもしれません。

ブランド好きのOLの東京観光コースに銀座のエルメスが欠かせないように、自転車好きおじさんの東京出張の寄り道コースには、たぶんこのお店は有力候補になるでしょう。

でも、稲荷町のYや、大門のSと比べて、都心から離れた世田谷区にある長谷川商会は、東京出張のついでに立ち寄るにはちょっと厳しいロケーションですね。

というわけで、世田谷在住自転車Bloggerの責任として、今回はこの長谷川自転車商会をご紹介致しましょう。


世田谷にはおかげさまで、自転車の専門店がたくさんあります。
自転車店というと、店頭にママチャリをたくさん並べて、店の脇でおじさんが忙しそうにパンク修理とかをしてくれている街の自転車屋さんを想像されるかもしれませんが、もちろん、そのような街の自転車屋さんもたくさんあるのですが、ここで私が言う専門店とは、”スポーツ車”の専門店のことです。

この長谷川商会も、看板に”スポーツ車専門店”と掲げてありますねぇ。

もちろん、街の自転車屋さんの中にはスポーツ車を扱っているところもありますが、やはり部品のストックなどは専門店にはかないません。普通の自転車屋さんは間口の広い総合店、専門店は自転車の中でも特定の車種に限定した間口が狭くて奥行きの深いお店、というわけです。

ですので、専門店といっても、お店によってまた取り扱い範囲が違っていたりするんですねぇ。
そうなると対象者もどんどん限られてきますから、地域のお客さんを相手にすると言うよりは、同じ趣味嗜好を持った全国の同好の士を相手にするといった具合になるわけです。

たとえば、例で出させていただいた稲荷町のY店は、クラシック・ロードの専門店。ロードのウエアも充実しています。大門のS店は、ロードのオールド・パーツの品揃えが素晴らしいですね。ショーケースのパーツに見とれていると、お茶を出していただけたりします。ありがとうございます。

さて、世田谷・上町にあるこの長谷川商会のお得意は、ズバリ次の写真の様な車種です。


ランドナーですねぇ。スポルティフという呼び方もあるようですが。

ロード・レーサーが文字通り公道レース用の車種であるのに対して、スポルティフは長距離ツーリングを目的に作られた自転車です。ロード・レーサーは極端に言えば1レースを走りきるだけの耐久性があれば良く、ゴールまで最も早く移動し、加速するために必要な機能だけがついていればいい自転車です。むしろ、その目的には不必要なものを全てそぎ落としてしまった道具といったほうが、わかりやすいかもしれません。

スポルティフは、趣味として自転車を楽しむ上で必要な機能がついている車種です。長距離を、出来るだけ快適に走りきることを目的に作られています。ですから、タイヤもロードと比べて太く、クッション性が良いですし、フレームも少し重いですが柔らかめで疲れにくくなっています。全天候に対応できるよう泥よけもついていますし、”旅”に必要な荷物を運んだり、キャンプまで出来るよう、バッグやキャリアがつけられるようになっています。ライトも標準装備です。

人への優しさという意味では、スポルティフはロードの何十倍も優れているわけです。

さて、写真はトーエイ社のランドナー。
オールド自転車少年(現オヤジ)には、憧れのブランドですねぇ。
エルメスなんか、目じゃないですよ。
なにしろ、軽い気持ちじゃ乗れません。トーエイ車のランドナーに乗るには、トーエイ車のランドナーがなんたるか、そもそもランドナーとはかくあるべきか、を3時間ぐらい語り続ける覚悟がなければ行けません。
たぶん、この自転車で日本一周でもしようものなら、行く先々の町や村でオールド自転車少年(現オヤジ)に行く手を阻まれ、ランドナー談義に最低一晩はおつきあいしなくてはならないでしょう。
私もそんな素敵なオヤジになれた日には、この自転車に乗ってみたいと思いますが、まだまだそんな資格はございません。


どうもランドナーの話が長くなりました。
まだまだあるんですが、先へ急ぎましょう。のんびりしてると閉店時間になってしまいます。

おお、この写真。金色のこのパーツ!
長谷川商会はランドナー中心なのですが、私のようなロード系の人間の食指を刺激する品揃えもございまして....

これは神宮のナルシマのショーケースにお宝のように陳列されているカンパCレコ・35thアニバーサリーですねぇ。なんとも無造作にごろんと置かれているところが、この長谷川の凄いところではあります。

とにかく店内ごろごろ物置状態(失礼!)ですから、発見する楽しみというか、宝探し感覚で探検して驚いて奇声を上げるというのが、正しい長谷川初心者の振るまいとなるわけです。

え? Cレコ35thアニバってなに?

ぶ・無礼者! ここを何処と心得る!!

...あ。失礼しました。つい、取り乱してしまいました。

さて、探検(?)をつづけましょう。


う~~~、金の次はサファイアですよ。
ここは宝石店ですか?

たしかに、たかが自転車のブレーキですが、この青く光る石がはめられている時点で、ただごとではないんですねぇ。もう、こんなもの、もったいなくて使えません。

この、たかが実用パーツであるはずのものがもったいなくて使えなくなってしまう高貴な神話をまとってしまうところに、魔性の世界が広がっているのですねぇ。

ちなみに業界(ドンナギョウカイダ)では、この様な高貴なパーツを組み込んだ(もちろん時代考証など、考古学、歴史学、文化人類学の検証を正しく経る必要がありますが)自転車を、”魔物系”と尊称致します。


あ~、もう疲れてきました、実はまだ外のショーケースを見ているだけで店内には侵入していないのです。実際、私、長谷川の店内に入れたのは大人になってから、しかも、三回目ぐらいの訪問で、勇気を出して、目をつぶって、息を止めて、入りました。

で、倉庫のような店内で目眩がして、呼吸困難になり、遠のく意識の中で聞こえてくるのは、店の奥にいらっしゃる常連さんと、長谷川店主のお声でした。

「トーエイ社ってのはさぁ、お寺と関係があるらしいよ」
「うそでしょう、寺が自転車作ってたの?」
「うーん、わかんないけどね、ほら上野の寛永寺あるでしょう?」
「彰義隊が官軍と戦ったよねぇ」
「あの寛永寺は東叡山って言うんだよ」
「その東叡山がトーエイ社なの?」
「なんかわかないけどね、トーエイ社ってもともと上野にあったでしょう?」
「ああ、あったねぇ...」
「寛永寺って、徳川の菩提寺だよねぇ」
「賊軍だねぇ」
「それを名乗るのは、曰くがあるよねぇ」
「それってさぁ...」


え? あ? 
この写真のサドルはなんだ?

なんか、記念モデルらしいですよ。

これ、お店の中に入ったら、ごろごろ転がってましたよ。
危うく落っことして、踏んずけちゃいそうでした... (^^;

あ~~、長谷川自転車商会、やっぱりもうちょっと修行して、出直して参ります。
お粗末様でした。


(あ、今週末、15、16日は、世田谷・上町の有名な”ボロ市”が開かれます。
長谷川商会が開店しているかどうかわかりませんが (^^; お出かけになってみてはいかがでしょう...)

Posted by jinx at January 14, 2005 11:50 AM | 自転車に乗るということ > 自転車メンテナンス | *



コメント

ちょっと前まで秋葉原は真空管やスピーカーユニットや,コンデンサーなどが無造作に置かれていて,店員はマニアと丁々発止の会話を繰り広げておりました.今ではフィギュアなど別種のオタクの棲息する街に変わりつつあるようです.でもこういうお店が東京にはいろいろ有って欲しいものです.でないと東京の存在意義が無くなる様な気がしますから.

投稿者 tantanmen : January 14, 2005 12:11 PM

tantanmenさん、こめんとありがとうございます。

たしかに、東京にはこんなディープな店が多いですねぇ。
仰る通り、それがこの街の面白さでもあります。
もちろん、大阪にも、名古屋にも、他の街にも、集積度が違うだけで様々な名店があると思います。
そんな店での会話、マナーは、ほんと、冷や汗ものですね (^^;

投稿者 jinx : January 14, 2005 5:14 PM

こんばんは!
ちょうど今日、このお店の前を通ったので、「しっかりと」
外から観察してきました。入りにくそうですね・・・。
しかも、営業してるのかどうか見た目わからないんですね(^^;)
近くのお店で、明日のボロ市に備えてガスコンロ?を表に
設置していました。
「明日おいで!雪の日は特別ウマイよ~!」ですって。

投稿者 Bake : January 14, 2005 6:29 PM

Bakeさん、どうもです。
いよいよボロ市Part2ですねぇ。でも雪ですねぇ。
どうなるんでしょ。
>入りにくそうですね・・・。
はい、入るのに凄く勇気が要ります。それまでの自転車人生が試されていると言っても、過言ではありません。
>しかも、営業してるのかどうか見た目わからないんですね
はい、長谷川のおじさんも、常連さんも、他のお客も、わかってないと思います (^^;

投稿者 jinx : January 14, 2005 6:39 PM

jinx さま はじめまして… m*_ _*m (*^^*)
思わず 宝石の山 拝見で感激で コメントさせていただいてます (*^^;A (*^^ゞ
わたしより お目々輝くモノ 一名に さっそく 教えてあげないとです (*^^ゞ
お年玉 ほしいです (*^^ゞ
飾っておきたいです (^_^;) ひやあせ!!

投稿者 カオル : January 14, 2005 10:02 PM

わあ! ハセガワさんだぁ!
わたくし、こちらよくお邪魔しておりました。 (もちろん自転車で…。)
そして、ハセガワさんのお話、全然わからないままににこにこして聴かせていただいたものです。
いつもランドナーの優雅さを感じさせられたものです。

投稿者 Seonfa : January 14, 2005 11:45 PM

私も学生時代から乗っているランドナーがあるのですが(最近ほとんど乗ってないけど)、このようなお店があると、壊れた時、パーツが手に入りやすくていいな・・・、なんて思います。
例えば、オーバーロックナット幅120mmのハブとか、いやそれよりも、5段のデュラエースのボスタイプフリーの歯が減っているので何とかならないかとか・・・。(笑)
このようなお店を「デイープ」というよりも、「便利でありがたい」と思うのは、私が本当に年を食っている証拠ですね。(笑)

もし東京に行く機会があれば、ぜひ寄ってみたいです。

投稿者 fetta1.8 : January 15, 2005 12:44 AM

おひさしぶりです! 今年もよろしくおねがいします、
っていまごろ(^^;)ゞ

生々しい潜入レポートですねー。まんじゅうコワイー・・・
私も自転車ブロガーのはしくれ、いちどは長谷川詣をしておかなくちゃ、
とおもいながら、なかなか果たせません。
入ったら最後、財布がすっからかんになるまで店から出られないような気がして。
しかも、なにかにとり憑かれちゃったりして。
ちょっとした心霊スポット級の怖さですね。

投稿者 Yow : January 15, 2005 2:11 PM

はじめまして。
貴サイトはいつも楽しく拝見しております。

この度、TOEIのフレームをベースにスポルティーフを作ることになりまして、
興味を持って記事を拝見しました。

数年前に大阪から埼玉に引っ越してきて都内通勤をしておりますが、
じつは東京の自転車屋のことはほとんど知りません。
ご紹介されている長谷川さんはとても素敵な場所みたいですね。

レアなパーツにはまると大変なことになりそうですが、
一度機会がありましたらおじゃましてみたいです。

投稿者 xjmarin : January 15, 2005 9:12 PM

カオルさん、こちらこそはじめまして。
そうなんです、もったいなくて飾っておきたくなるようなパーツがゴロゴロしておりまして。
自転車お宝鑑定団とかあったら、すごいことになりそうです。

Seonfaさん、こんにちは、
常連だったんですか!?
すごいですねぇ。
ただ者ではないと思っておりましたが...

fetta1.8さん、こんにちは、
私はかなり誇張して書きましたが、長谷川さんはまさにランドナー乗りにとっては”便利でありがたい”店だと思いますよ。
お探しのパーツも、ここに無ければ、たぶん地球上に無いでしょうし。

Yowさん、こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします。
Yowさんはもう10回ぐらいここで破産してるかと思いましたが... (^^;
行かれるときは、財布は家に置いて、カード類も全て解約してから行った方がいいですよ。

xjmarinさん、はじめまして、よろしくお願いいたします。
トーエイ社のフレームなら、このお店にたくさん吊るされ、重ねられ、転がっています。都内には他にもランドナーの名店はありますが、パーツを見るだけでも長谷川さんは楽しいと思いますよ。品揃えも、決してレアな高級パーツばかりではありませんし。時代を超えて、いい物をきちんと揃えられているお店です。

投稿者 jinx : January 16, 2005 5:17 PM

Jinxさま、コメントは初めてです。宜しく。こういう楽しみ方があるのかァ、と思いつつ、どんな自転車かなとも想像していました。ここなのかァ、と気づき、遠くないので、ちょっと行ってみました。先客があれこれ講釈、いやオッサンの方かな。聞いていて、何となくわかったような気持ちになりました。
長距離旅行車を創作するのを自転車屋と乗り手が楽しむらしい。都内をチョコチョコ廻る、カメラをバッグにいれて、運べるような籠が付いた車について尋ねてみるか。

ところで、カメラについて記述している個所はあるのでしょうか?ご教授されたし。

投稿者 カシオペアm101 : February 5, 2005 2:25 PM

カシオペアm101さん、コメントありがとうございます。
このお店のお薦めする自転車、私の嗜好とは若干違うのですが、パーツの品揃えは私憧れのものが数多くあります。まぁ、長谷川店主に言わせると、私みたいのがロードバイクに乗っちゃダメ、あれはレース用、競技用車両だよ、あんたみたいなのはきちんとしたツーリング車に乗りなさい、と怒られると思います。

カメラについてですが、
http://jinx.oops.jp/blog/archives/2004/12/post_375.php
http://jinx.oops.jp/blog/archives/2004/12/2.php
このへんで記事にしました。

投稿者 jinx : February 7, 2005 10:06 PM

Jinxさま、カメラ拝見しました。コンパクトで撮っているとは気づきませんでした。腕が良いんですね。私も腕を磨こう。

投稿者 カシオペアm101 : February 11, 2005 10:19 PM

カシオペアm101様、
最近の写真は、デジタル一眼です。
大きな画像は、だいたいそうです。

投稿者 jinx : February 15, 2005 12:00 PM

「xjmarin」さまへ。以前このショップで、ボスフリーのベアリング(!!!)を買ったことがあります。オヤジさん曰く、「で、幾つ要るの?」(顔を歪めて)こういうパーツの在庫があるのが、このショップの魅力でしょうね。驚く程の品揃えです。是非にもお立ち寄り下さい。超常連のshio-sanでした。

投稿者 shio-san : July 16, 2006 4:04 AM